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クラウドを「作る」側に来て見えた景色

October 03, 2022

現在、データベースをクラウドで提供する会社の Site Reliability Engineer (SRE) として働いています。それ以前は、Cookpad Global で toC 向けのサービスを作っていました。

細かい職務内容については、以前以下の記事に書きました。

Site Reliability Engineer for Databases という仕事

Cookpad に所属していた頃は、クラウドを「使う」側でした。AWS のヘビーユーザーでしたので、基本的にはデータベースもアプリケーションも AWS のサービスを利用することが多かった。

Neo4j に入社した大きな理由の一つに、クラウドを「作る」側に回ってみたかった、というものがあります。そうしてしばらく働いていると、だいぶ作る側の景色も見慣れてきました。

クラウドを作る側って、コンサルティングみたいな立ち位置なのかな、って最近思うのです。

私たちのプラットフォームを使ってくれるクライアントは、本当に多岐にわたります。金融機関から政府機関が主な顧客ですが、EC サイトや物流システム、クレジットカードの不正検知から地図アプリケーションなど、非常に多岐にわたります。

クライアントが、彼らの課題を解くためのツールの一つとして、私たちが実装しているプラットフォームを使ってくれていることに、社会に対するインパクトの大きさを実感することもあります。

一方で、クラウドを作る側にいるからこその葛藤もあります。

実際に社会に存在する課題を直に解決しているのは、クライアントなのです。本当の課題はクライアントの元にあり、それらを解決する醍醐味や技術上の課題は、クライアント企業のソフトウェアエンジニアのものです。私たちはツールを提供しているに過ぎず、社会課題とは一歩距離を置いているのです。

これは、例えばコンサルティングが数々の企業にアドバイザリーとして価値を提供している図と似ている、というのが私の感想です。時々、コンサルだと現場と遠いので、toC 企業に転職したり起業したりした、という話を聞きませんか。その気持ちが、今は少しわかります。

どちらが良いとか悪いとかという話ではありません。プラットフォームにも解決しようとする課題があります。それは、クライアント企業の開発者が抱える課題です。スケーラビリティであったり、セキュリティであったり、パフォーマンスであったり。ですので、誰かの役に立っていることは間違いないし、誰かの手を通じで社会の課題に貢献していることは間違いない。

プロダクトを作るときに、上流にいるのか下流にいるのか、といった違いに似ているのかもしれません。

だからこそ、自分が所属する会社やコミュニティが解こうとする課題にどれくらい情熱を捧げるか、というのはモチベーションを維持するためにとても大事なことだと思うのです。

それを評価するために、会社はミッションやバリューというものを言語化します。それに共感できるからこそ、人はそこに情熱を注ぐのでしょう。仕事は仕事と割り切って仕事するタイプの方も勿論いますが、ジョブ型雇用ではない場合は、課題とどれだけ向き合うか、というのも優先順位の高い軸の一つでしょう。

新しい環境に来ることで、新しい経験をすることで、視野が広がるというのは楽しいですね。また違う景色を見てみたいという刺激になります。

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