Practice as Feedback Loop

先日、部全体の Townhall でのプレゼンテーションの機会を頂いた。前期に取り組んだプロジェクトの成果について 15 分で話して欲しいというリクエストで、オーディエンスは 30 人程度。普段 10 人程度の小チーム向けの勉強会での発表には慣れてきたところだったので、この話をいただいた時には、丁度良いストレッチゴールを貰えたと感じた。

顔見知りの同僚の前での発表だし、そこまで長くもないし、やるだけと言えばやるだけの難易度中くらいの発表ではあったのだが、せっかくなのでこの機会を最大限の学習の機会にしたかった。期待値を超えるプレゼンテーションを出せないか、という隠れた個人目標を設定して取り組んだ。リードからの期待値は明確だったので、最低限その要素を盛り込んだ上で、いくつか自分なりのアレンジを加えてみた。

Practice makes Perfect

その準備の過程で一番大事だったのは、何を隠そう Practice / 練習 だ。当たり前のように聞こえるし、"Practice makes Perfect" というような古臭い cliché もあるくらいだから、何も新しいことを言っているわけではない。今回興味があった問題設定としては、いかに練習を効率化するか、という点だった。

ただ時間をかけて何度もプレゼンテーションの練習をすれば自信がつくかというと、実はそうでもない。時間をかければかけるだけ、悩みの沼にハマっていく。時間をかけて練習した帰結として、結局何が伝えたかったのだっけ?これだけ練習したのに全然向上していないよね?となるのは時間の無駄だ。

Feedbac Loop

練習の本質は Feedback Loop にある。練習の過程で、自分の不足しているスキルや過ち・失敗・未熟さを正面から受け入れ、残り時間でいかにその弱点を潰しに行くか、という繰り返しである。したがって、何よりまずこの Self-Awareness / 自己認識を包み隠さずにできるか、というのが必須の過程である。

今回は、プレゼンテーションを実際に録画して、自分の顔・声・特徴・話し方・姿勢など可能な限り詳細までレビューしてみた。そうすると、恥ずかしいくらいの改善点が見つかった。

  • 抑揚:盛り上げるポイントで感情がこもっていない。
  • 姿勢:ゆらゆら揺れて落ち着きがない。緊張が目に見えて伝わっている。
  • 目線:右に左にと落ち着きがない。
  • 表情:眉の動き方が不自然。作り笑顔すぎて滑稽。
  • ボディーランゲージ:一貫性がない。宙ぶらりんの手がグロッキーさを醸し出している
  • ストーリー:論理一貫性がない。課題をどう解決したのかについて、繋がりが明確ではない。

自分が頼りない英語で恥ずかしそうに話している動画は、非常に見るに堪えない。しかしだからこそ、ここで発見した課題を Feedback Loop として改善していくためには、その弱点に直視する必要がある。

ここが実は一番大変なポイントなのかもしれない。弱点を直視さえできれば、あとは一つずつ弱みを潰していくだけである。今回は時間も無かったので、一回録画するだけの練習時間しか確保できなかったが、やるとやらないとでは、きっと大きな差が出ただろう。

Unknown Unknown

Feedback Loop でもう一つ重要なのは Unknown Unknown の発見にある。自分が最高だ!と思っているストーリーでも、他人の目から見るとイマイチであることもある。だからこそ、信頼できる第三者からのフィードバックは、何よりも貴重だ。

今回は、同僚と直属のリードにフィードバックを貰いに行った。結果として、さらに複数の改善点が見つかった。

  • 比喩:理解の助けにと思って取り入れたアナロジーが、逆に分かりづらい。
  • 流れ:オーディエンスの頭にスッと入っていくようなストーリー性がない。
  • 成果:押し出すべき成果を漏れなく伝えられていない。不必要な謙虚さ。

直前のフィードバック依頼にも関わらず、快く時間を割いてくれた同僚とリードには本当に助けられた。このような時に頼れるメンバーがいるのは、ありがたい。

Outcome

準備をして取り組んだプレゼンテーションではあったが、何よりもその準備の過程で得た収穫が大きかった。単なる 15 分のプレゼンテーションだと思って最低限の準備で臨むことができたが、こうした機会を得たときにいかに集中して成果を最大限にするか、その積み重ねが自分のスキルと経験を上げていくのだと思っている。

こうして準備をしても、本番のプレゼンテーションを見直してみると、新しい改善点が見つかった。

  • 速度:緊張すると早く話してしまう癖がある。間を活用できていない。
  • 語尾:文章の後半や語尾の声量ボリュームが尻下がりで下がっていくことが多い。
  • 発音:疑問系ではないところで、疑問系のような発音になってしまっている。

周囲からのフィードバックも重要であった。なぜ今回の仕事が自分が思っていた以上に評価されたのかを再確認するきっかけとなった。

that was fantastic. Really proud Ken

Hi. I'm so impressed by you. Your determination to learn and also always being humble is so perfect. You are a great example to the whole org.

元来の性格もあって、仕事の成果を最適化するために "Juicy" なプロジェクトに身を置こうとか、他人から成果を奪おうとか、そういう動きができない性質である。したがって、基本的には「目の前の仕事を全力で取り組む」というなんともシンプルな行動原則に従っている。今回は、それが功を奏したということか。

2024-03-27