"Tidy First?" の Bookclub を完走した。次の Bookclub を開催する前に、今回の取り組みについて振り返ってみたい。
以前の振り返り記事はこちら:
合計で三回目となる今回の Bookclub を通じて、僕らならではの雰囲気・カルチャーというのも形成されつつある気がしている。
何よりも心がけているのが、分からないことや的外れなことを言っても大丈夫、という雰囲気だ。学習というのは、勘違いの連続だ。間違うからこそ直してもらうことに価値がある。勘違いしているからこそ、アハ体験がある。「分からない」という自己認識が、学びの第一歩だ。
具体的には、間違ったこと、分からなかったことを積極的にシェアしていくし、してもらう。著者の書いてあることを鵜呑みにせず、著者の言っていることが不明な箇所は指摘する。そうすると、実は他の人も同じ認識だったことが分かったりする。
これが仕組みとして機能すると、一人で学ぶより、仲間と学んだ方が圧倒的に間違いに気づけることに気づく。他の人に間違いを指摘してもらって修正するというのはわかりやすい。それだけでなく、他の人が自分と同じ思い込みをしていて、それを修正していくプロセスを観測することで、こっそり学ぶことだってできる。その繰り返しが、再現可能な形で起きる学習エンジンとしての場を、Bookclub で作っていきたい。
Bookclub が成功する要素の一つが、ファシリテーターである自分たちが、選定した本にどれだけ情熱と想いを持っているかだと言語化できた。
時間があったら読みたいな、と思った程度の本を選定することにはリスクが伴う。例えば、読んでいる途中で期待外れの内容だったりすると、途中でモチベーションが下がってしまう。モチベーションが下がってしまうと、無理に続けていくことに抵抗も覚えてしまう。これは長期的には、Bookclub 参加者からの信頼を損なう結果につながってしまうかもしれない。
だからこそ、自分が過去に一度読んで「もう一度読みたい」「ぜひ議論したい」と強く思った本を選定するということに、大きな価値がある。一度読んでいるからこそ、つまづくポイントや議論となるポイントもわかる。盛り上がる箇所や、スキップして飛ばしても良い箇所も見えている。
一度読んだ本をもう一度読むことは時間の浪費ではないか、と思うかもしれない。しかし、読み応えのある良い本というのは、何度読んでも学びがあるものである。そんな本を選んでいきたいし、読むことを習慣化するためだけの Bookclub とは別の立ち位置であり続けたい。
参加者の多様性と情熱のおかげで、僕らの Bookclub の成功が担保されていると言っても過言ではない。「誰が参加しているか」というのもとても重要で、他の人と交流できることに大きな価値がある。職種も多様で、参加しているタイムゾーンもバラバラで、所属している企業や取り組んでいるプロジェクトも様々。
だからこそ、参加者同士の交流の場としての立ち位置も大切にしたい。本を読んで終わり、ではなく、「あの人と一緒に参加したから楽しかった」という気持ちになって帰ってもらいたい。
今回は、参加する前に参加者全員に Google Form を送信し、以下の自己紹介フォームを記載してもらった。参加者同士限定で閲覧権限を付与し、開催中はいつでも見えるようにした。
これがとても評判だった。スキルセットや所属企業がわかることで、例えば質問をするときにも誰に質問したいかが明確になる。それによって、より深みのある議論に繋がった。
また、初回はアイスブレーキングとして雑談の時間を明確に設けた。あまりに楽しかったので、毎回雑談の場を設けても良かったんじゃないか、という意見ももらった。なんなら、Bookclub 終了後に打ち上げ会を作って、すべての時間帯合同で話せる場も欲しい、という意見も頂戴した。ぜひ、次回以降は実現していきたい。
ファシリテーターの視点からすると、参加者全員の顔も強みも知っている。でも、参加者同士からすると、他にどんな人が参加するか分からないので、それで少し不安を感じたり、距離が遠のいてしまったりするかもしれない。参加者の視点での工夫や取り組みも、増やしていきたい。
Bookclub 自体も改善していくために、運用観点でフィードバックを募集した。これが、また予想以上に良かった。自分の盲点をついた提案や指摘がいくつももらえたおかげで、次回の Bookclub を開催するのが余計に楽しみになってしまった。
具体的には、Google Form を作成し参加者全員にお願いした。Optional としたので回答率 100% とならなかったのは自分の至らないところだが、それでも答えてくれた人の意見には目から鱗のものばかりだった。
特に嬉しかったのが、提案や改善点をいくつももらえたこと。「素敵な Bookclub を開催してくれてありがとうございます」というフィードバックももちろん嬉しいのだけれど、そんな嬉しいコメントを読んで鼻高々になって改善を怠ってしまっては、次回の参加者に良いものを届けられない。そんな中、貴重な時間を割いてまで改善点を書いてくれた参加者の皆さんには、頭があがらない。
Feedback is the Gift を痛感した瞬間だった。
前回までは、APAC, EMEA, NA 三つのタイムゾーンからの参加者がいたので、全員参加できる時間を探すのが高難易度だった。誰かが早起きしないといけないか、遅くまで起きていないといけない。情熱とモチベーションが高い方々ばかりなので、それに甘えてなんとか続いていたようなところもあるが、そこを仕組みとして改善したかった。
今回導入したのが、二つのタイムゾーンフレンドリーな時間に分けて、二回開催するというもの。具体的には、APAC/EMEA フレンドリーなタイムゾーンと、EMEA/NA フレンドリーなタイムゾーンでの開催。
ファシリテーターが二回参加する必要があるという欠点はあったものの、これによって参加者が参加しやすくなり、結果として高い参加率には繋がったと思う。
しかし、一方で他のタイムゾーンの方との交流が減ってしまったという意見もあった。確かに、これまでは、一つのチームで取り組んでいる濃い信頼関係のような雰囲気が形成されていたので、参加するタイムゾーンによって断絶されてしまったような機会ができたのは反省している。これはフィードバックでも一番多い意見だった。
今回の Tidy First? を読むにあたって、ソロ収録で事前に宣伝収録を公開した。一部の方には、これが刺さったようだ。
なぜこの本にしたのか、どうして Bookclub で取り上げたいのかを自分の言葉で語ることで、その想いがより強く伝わったようだ。これは次回も続けていきたい。
自分での振り返りと、フィードバックフォームを踏まえて、次回以降の開催は以下の観点を大切にしていきたい。
そして何より、僕ららしさでる 分からないことを分かると言える心理的安全な、それでいて情熱あふれる躍動感のある Bookclub という立ち位置も、守っていきたい。