これは、ふとした日常での気づき。大して特別でもない、至って普通の日常で、目が醒めるように感じた気づき。
私は、すでにたくさんの人に囲まれ、モノに恵まれ、幸せだな、と。"I have enough" だな、と。
欲しいことはたくさんある。もっともっと欲しいな、という欲望に突き動かされることだって、良くある。もっと野望は叶えたいし、夢はもっと追い続けたい。もっと強くなりたいし、もっと逞しくなりたいし、もっと速く走りたい。もっとお金は欲しいし、もっと本は読みたいし、もっとキャリアを積みたいし、もっと、もっと。
この「もっと」という感情は、人を成長に突き動かし、高みを目指させ、原動力になる。そう、なってきた。
いや、しかし。今、私の目の前にいる家族や友人たち、私が蓄えている知識や暖めているアイデア、私がこれまで培ってきた経験や鍛え上げてきた身体に、この上ない愛おしさと満足を感じる。そしてその感情は、「もっと」という気持ちと、必ずしも反するわけではない。
家族との時間が増え、談笑の時間が増えた。ともに共有する時間が増え、お互い理解し合う話題も増えた。多様なコミュニティで友情を育み、新しい人との出会いにときめき、旧友との再会に喜ぶ。毎日を卒なく過ごすことができる健康な身体があり、悲しみを悲しみのまま抱擁し、楽しみを楽しみとして受け入れる素直な精神が、今ここにある。
周りから見ると、至って「普通」のことなのかもしれないが、この平凡で、平和な瞬間が、至って貴重なことのように思える。
特に、結論はない。この "I have enough" という感情を、大切にしていきたい、そうふと思っただけの話。