本ブログでは、今までグラフデータベースの紹介やユースケースについて紹介してきましたが、本記事では、会社という側面から Neo4j について紹介します。
Wikipedia または 会社概要 ページに会社の歴史についてまとめられています。
最初の Proof Of Concept は 2000 年に実装され、その後 2002 年に最初の Neo4j がリリースされることとなります。
その後 2007 年にスウェーデンを拠点に会社を設立。最初の資金調達は、その二年後、2009 年に獲得したシード期として 250 万ドルの調達でした。
2011 年にシリーズ A、2012 年にシリーズ B (1,100 万ドル)、2015 年にシリーズ C (2,000 万ドル) と資金調達を重ねていきます。2016 年には、Neo4j 3.0 のリリースと、シリーズ D (3,600 万ドル)の調達を果たします。
その後は、連続して基幹サービスを次々に発表していきます。2017 年に Neo4j Desktop、2018 年に Neo4j Bloom、そして 2019 年には Neo4j Aura をリリースします。2018 年にはシリーズ E (8,000 万ドル)の資金調達も行っています。
直近のニュースですと、シリーズ F で 3 億 2,500 万ドル の資金調達を行いました。
メインのサービスは、グラフデータベース本体である Neo4j Graph Database です。そして、それをクラウド上で、フルマネージドサービスとして提供しているのが、Neo4j Aura です。オンプレミス環境で自分たちで運用を行いたいというケースでない限り、Neo4j Aura を選択するケースが増えていくでしょう。
グラフデータベースに保存したデータを分析するために、Graph Data Science Libary を提供しています。このライブラリは、PageRank や経路探索 といった主要なグラフアルゴリズムを実装しています。昨今は、AI のトレンドにも相まって、採用ケースが増えてきました。
可視化ツールも提供しています。メインが Neo4j Bloom です。Neo4j Graph Database に保存されているデータセットに対して、インタラクティブに操作ができます。フィルタリング機能や Cypher Query による検索機能も強力です。
開発用途としては、Neo4j Desktop と Neo4j Browser も提供されています。先述した Neo4j Aura は、この Neo4j Bloom と Neo4j Browser と統合されているので、ブラウザ上だけで統合されたグラフデータベースの開発環境が揃います。
Neo4j のユースケースは、医療系から宇宙工学、AI/ML から EC サイトへとかなり多岐にわたります。
メジャーな企業で言うと、eBay のモバイルアプリ上での推薦エンジン、ブログサービスである Medium によるソーシャルグラフの構築と記事レコメンド機能の実装に利用されています。
本ブログでも、すでに国際コンソーシアムによるパンドラ文書の解析、NASA による社内のタレントプール の有効活用やプロジェクト結果の活用など、Knowledge Graphs の文脈で利用されています。
その他の業界ですと、ネットワーク構成管理では Cisco によるユースケースが、マスターデータ管理の文脈では Airbnb によるユースケースが紹介されています。政府系ですと、US Army でも実績があります。
グラフデータベースらしい業界で言えば、ソーシャルネットワークのバックエンドとして、Adobe が提供する Behance と呼ばれるデザイナーやクリエイター向けのソーシャルネットワークに利用されています。
以上、会社の側面から、Neo4j の歴史、サービス、ユースケースについて紹介しました。