Wittard, Guatemala Elephant

2024 年のクリスマスイブの夜、部屋にはツリーの灯りが柔らかく瞬いていた。プレゼントの包み紙を開ける音が、イギリスのことさら厳しい冬の静けさを優しく彩る。そんな中、家族から贈られたひとつの贈り物が私をひきつけた。Wittard の "Guatemala Elephant"。グアテマラ産のコーヒー豆で、名前に象徴的な力強さを宿している。

Guatemala Elephant package

包みを開けた瞬間、ふわりと漂う深いアロマに心が躍った。それはまるで、夜明け前の静寂に響く象の足音のように鮮烈で、力強かった。メディアムダークでローストされたその黒い豆は、落ち着きと温もりを携えながら、じんわりと存在感を放っていた。豆を挽くと、その香りはさらに広がり、私の心を一瞬で虜にした。

淹れ方には、Hario V60 Double Mesh Metal Coffee Dripper を選んだ。フルボディのコーヒーが持つ重厚感を最大限に楽しむためには、オイルまで余すことなく抽出する必要がある。湯を注ぎ、豆がふっくらと膨らむ様子を眺めながら、その一瞬に宿る命のような輝きを感じた。一粒一粒の豆に丁寧にお湯を浸透させて雑味の無い味を引き出すためには、儀式のような静けさと集中力が必要だった。

Guatemala Elephant bean

カップに注いだ一杯を口に含むと、まず広がるのはダークチョコレートの滑らかな苦味だった。重厚でベルベットのような舌触りが心を落ち着かせる。しかし、その後すぐにオレンジの明るく弾けるような酸味が顔を出す。甘さと苦味が絶妙に絡み合い、まるで象の足音が奏でる静かで力強いリズムのように、複雑でありながらも心地よい余韻を残した。

下の写真の一番左が Guatemala Elephant だ。シティローストやメディアムローストの豆と並べると、その黒光りする表面からは香りが静かに立ち上り、存在感を放っている。じっくりと時間をかけて高温で焙煎された豆は、艶やかなオイルをまとい、深い味わいへの期待を膨らませてくれる。

Guatemala Elephant bean compare

Guatemala Elephant は、贈り物としても完璧だった。プレゼントを選んでくれた家族の気持ちと、豆が持つ力強さや繊細さが重なり、ただの飲み物以上の意味を持っていた。クリスマスの静かなひとときに、このコーヒーは私に心を満たす温もりを届けてくれた。

この一杯は、贅沢な味わいとともに、日常に小さな特別感を差し込んでくれる。どこかで誰かが丹精を込めて育てた豆が、時間を超えて私の手元に届き、今こうしてカップの中で輝いている。そんな奇跡に思いを馳せながら、私はまた次の一杯を淹れるのだった。

Cofee Note Details
Region Guatemala
Process Natural
Roast level Medium Dark
Taste Dark chocolate, orange
2025-01-05